ナナちゃんは狩猟用フェレット

イギリス生まれ日本育ちのフェレットです

フェレティングとは

フェレットを使ったアナウサギの狩猟方法。

フェレットアナウサギを巣穴から追い出し、人間がネット(網)で捕獲する。

 

ヨーロッパでは少なくとも古代ローマの時代から、フェレットを使ったウサギ狩りが行われていたそうです。ウサギは食用として捕獲されました。人々はイベリア半島原産のアナウサギローマ帝国の様々な場所に持ち込みました。ウサギは古くから食用にされていたものの、家畜化が実現したのは中世のフランスなのだそうです。

 

イギリスには11世紀あるいは12世紀に、ヨーロッパ大陸原産のウサギが食用として持ち込まれました。その後、貴族の狩猟対象としても人気が出たそうです。しかし、それらが管理されなくなると、野生化したアナウサギの数は膨れ上がりました。

増えすぎたウサギは農作物に被害を与えたため、1950代にはミクソーマウイルスによる駆除を行いました。このウイルスによって兎粘液腫に罹ると、ほどんどの確率で死に至ります。ウサギは苦しみながら死んでいくのです。

これにより、一時的に大きくウサギの数を減らすことができましたが、免疫を持ったウサギが生き残り、根絶することはできませんでした。

現在ではミクソーマウイルスをまくことは禁止されています。

 

話を戻すと、今でもイギリスではウサギ狩り(ラビティング)は合法です。

害獣駆除のプロとしてやっている人もいますが、ほとんどは趣味でやる人が多いです。

フェレットを使ってネットで捕まえるだけではなく、銃で撃つ人もいます。基本的にフェレティングは秋から冬にかけてのもので、ラビットシューティングは年中やっています。あとは庭にウサギが巣を作ってしまったとかいう場合に、家主が捕獲器を仕掛けることもあります。

 

ピーターラビット』で有名なイギリスですが、実はアナウサギ外来種なのです。

人間は最初、彼らを食用・毛皮用として大切に扱いました。彼らのためだけではありませんが、天敵となるキツネを駆除しました。増えすぎたウサギは、牧草地を穴だらけにし、家を傾かせました。今度は彼らが駆除されることになりました。

 

私はウサギを捕まえ、頚椎脱臼し、肉を食べます。

ウサギが憎くはないし、お肉を食べるのも好きではないです。

だけど、愛した動物がフェレットだったので一緒に猟をします。

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フェレットが追いかけるとウサギは別の穴から飛び出します

 

いつかイギリスでハンティングを

2011年の冬にイギリス南東部の街、チチェスターで英語の勉強をしていた。

 

語学学校への通学路には銃砲店があった。ショーウィンドウには3冊の本が飾られており、表紙に写っているのは左から、鷹狩りの鷹、ハウンドドッグ、そしてフェレットだった。

その店は物騒なアウトドア用品店という感じで、窓の向こうには迷彩柄の衣類や、鳥の形をしたクレイ射撃の的が見える。鉄砲は店の奥にあるようだ。

 

ある日の下校途中、勇気を出して重い扉を開けた。こんな時は何と言って入ったらいいのだろう、小さな声でハローと呟く。

店員はカウンターの中で書類仕事をしていた。気にせず、ショーウィンドウの本に手を伸ばしてみる。

表紙には『Hunting with Ferrets』という文字と、緑色のズタ袋からキリリとした表情のフェレットが顔を出している写真。ページをめくると、地下にあるアナウサギの巣穴の断面図が描いてあった。フェレットがウサギを追いかけて、巣穴から追い出すという説明がある。

「そうか、これが」と思い出す。

以前から、フェレットの飼育本で「フェレットの歴史」について読んでいた。そこには「3000年前に家畜化されて、ヨーロッパではウサギを捕まえるために使われていた」ということが書いてあったのだ。てっきり昔の話だと思っていた。

 

本をレジへ持って行き、会計を済ませる。ホームステイ先の家に向かって小走りしていく。

 

私が知らなかっただけで、今日もフェレット達は狩猟のお手伝いをしている。

冬の牧草地につくられたウサギの穴に潜って、泥だらけになりながらウサギを追いかけるのだ。

もう死んでしまったフーちゃんが頭の中で話しかけてくる、

「私たちにもできるんじゃないの?」

と。

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