ナナちゃんは狩猟用フェレット

イギリス生まれ日本育ちのフェレットです

いつかイギリスでハンティングを

2011年の冬にイギリス南東部の街、チチェスターで英語の勉強をしていた。

 

語学学校への通学路には銃砲店があった。ショーウィンドウには3冊の本が飾られており、表紙に写っているのは左から、鷹狩りの鷹、ハウンドドッグ、そしてフェレットだった。

その店は物騒なアウトドア用品店という感じで、窓の向こうには迷彩柄の衣類や、鳥の形をしたクレイ射撃の的が見える。鉄砲は店の奥にあるようだ。

 

ある日の下校途中、勇気を出して重い扉を開けた。こんな時は何と言って入ったらいいのだろう、小さな声でハローと呟く。

店員はカウンターの中で書類仕事をしていた。気にせず、ショーウィンドウの本に手を伸ばしてみる。

表紙には『Hunting with Ferrets』という文字と、緑色のズタ袋からキリリとした表情のフェレットが顔を出している写真。ページをめくると、地下にあるアナウサギの巣穴の断面図が描いてあった。フェレットがウサギを追いかけて、巣穴から追い出すという説明がある。

「そうか、これが」と思い出す。

以前から、フェレットの飼育本で「フェレットの歴史」について読んでいた。そこには「3000年前に家畜化されて、ヨーロッパではウサギを捕まえるために使われていた」ということが書いてあったのだ。てっきり昔の話だと思っていた。

 

本をレジへ持って行き、会計を済ませる。ホームステイ先の家に向かって小走りしていく。

 

私が知らなかっただけで、今日もフェレット達は狩猟のお手伝いをしている。

冬の牧草地につくられたウサギの穴に潜って、泥だらけになりながらウサギを追いかけるのだ。

もう死んでしまったフーちゃんが頭の中で話しかけてくる、

「私たちにもできるんじゃないの?」

と。

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